THUNDER LESSON !

【盲長屋梅加賀鳶 加賀鳶】平成29年7月 歌舞伎座公演

盲長屋梅加賀鳶 加賀鳶
(めくらながや うめが かがとび)

ラストシーンの立ち回りは、東京⼤学の「⾚門」の前で繰り広げられます。
「⾚門」は、かつては加賀藩前田家のお屋敷の門でした。タイトルの「加賀鳶」とはその加賀藩お抱えの消防団のことです。


主人公は按摩の道玄

「道玄という按摩の話」と「加賀鳶の話」。作品の中に2つのストーリーがあって、途中で二つが接点を持つお芝居です。
ただし、現在上演されるのは道玄のストーリーだけ。
冒頭で加賀鳶の面々が勢揃いする場面がありますが、これはいわば華やかな鳶に扮した役者を観て頂くファンサービス。その後の展開にはあまり関係ありません。


海⽼蔵が演じるのは、按摩の道玄と、
加賀鳶の頭=梅吉の2役

道玄は、強盗殺人・強請り・不倫に家庭内暴力(!)というとんでもない悪人ですが、愛嬌があり何故か憎めません。
そんな道玄のキャラクターそのものがお芝居のみどころで、12世團十郎が演じた際は、本人の大らかな持ち味が役柄にマッチして好評を博しました。
一方の梅吉は、粋でイナセな鳶の親分。颯爽とした鳶姿の海老蔵をご堪能ください。


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▼豆知識▼

江⼾の町では⽕事が多発しました。

建物は⽊造、燃え広がるのはあっという間です。
もちろん消防車などもないので⽔で消すのは難しく、火事になったら建物を壊して延焼を防ぐのが⽕消しの仕事でした。
⽕消しの主⼒が鳶なのは、身軽で建物を壊すのに慣れていたからです。

⽕消しは人気の職業でしたが、中でも加賀藩お抱えの加賀鳶は江⼾のスター。体格、腕⼒、顔つきなど厳しい審査に勝ち残ったハイスペック男⼦達が、雲に稲妻の半纏、革羽織をまとう姿は華麗。⽕消しの腕も超一流でした。


『盲長屋梅加賀鳶』 明治19年(1886年)3月 千歳座(のちの明治座)
※本画像の無断複製や二次使用を固く禁じます(東京都立中央図書館特別文庫室所蔵)


ちなみにこの演目では、加賀鳶の面々は鉞(まさかり)という形の鬘で登場します。
髷の先が尖って鉞の形に似ているのでこう呼ばれ、粋さと男らしさの象徴とされる髪型です。
市川家の一門が「口上」でつける鬘も鉞と決まっていますが、中でも全てが鬢付け油で固められた「油付き研ぎ出しの鉞」は市川宗家にのみ許されるもの。現在この鬘をつけることができるのは、世界で海老蔵ただ1人ということです!