THUNDER LESSON !

【連獅子】平成29年7月 歌舞伎座公演

連獅子(れんじし)

寺院などで見かける文殊菩薩の像。
獅子の背に乗った形であることはご存じでしょうか?
連獅子に登場する獅子はこの文殊菩薩の遣いで、想像上の動物です。


『獅子は我が子を谷底に突き落とし、這い上がってきた子だけを育てる』

『獅子の子落とし』の伝説に基づく舞踊です。
前半は2人の役者が狂言師に扮してこの伝説を舞い踊ります。

2人は一度退場、後半では親子の獅子となりそれぞれ赤と白の獅子頭をつけて毛振りを披露します。
見どころは何と言ってもダイナミックな毛振りですが、前半の舞踊にもぜひご注目頂きたいところ。
獅子が舞い踊る深山幽谷が皆さまの目の前に広がるか。獅子の親子の情愛が伝わるか。そこが役者の腕の見せどころです。

連獅子は実際の親子で演じる事も多い作品で、子の成長を思い敢えて突き放す親獅子の姿が、芸道を極める厳しさと重なって感動的です。
海老蔵親子の連獅子をご覧頂けるのはいつ頃になるでしょうか。


 

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▼豆知識▼
 

連獅子は、能の『石橋』という曲を歌舞伎にアレンジした作品です。
日本のお坊さんが中国に行き、ある険しい山に架かる石の橋にさしかかると、少年が現れ『橋の向こうは文殊菩薩の聖地。しかしこの橋を渡るのは危険だ』と告げて姿を消します。やがて獅子が現れ、牡丹の花の中で舞い遊ぶ…。これが能の『石橋』です。


このように、歌舞伎には能楽を元にした作品がいくつもありますが、もともと能楽は武家の芸能。庶民には縁遠いものでした。これを歌舞伎に取り入れ、初めて武士以外にも解放したのが7世市川團十郎(1791-1859)です。


なお、連獅子の衣装や小道具には牡丹の花がよく用いられています。
古くから、獅子と牡丹は縁起のよい組み合わせとされ、屏風や襖絵に使われる事も多いのですが、これには理由があります。
百獣の王たる獅子のたった一つの弱点、それは自身の体に寄生する虫です。そしてこの虫を退治する薬が、牡丹の花に溜まる夜露。
獅子はこれを浴びるために牡丹に戯れているわけです。


牡丹唐草が施された袴