THUNDER LESSON !

【通し狂言 駄右衛門花御所異聞】平成29年7月 歌舞伎座公演

通し狂言 駄右衛門花御所異聞
(だえもんはなのごしょいぶん)


主人公のモデルは江戸時代に実在した大泥棒。

主人公の日本駄右衛門は、将軍家を滅ぼし天下を乗っ取ろうとする大悪人。
この大望を果たすため、大名・月本家に伝わる秋葉大権現の三尺棒を盗み出します。秋葉大権現とは火伏せの神様。本作品では月本家の守り神でもあり、この神の力も絡んで物語が展開してゆきます。


日本駄右衛門のモデルは、江戸時代に実在した大泥棒の濱島庄兵衛です。
今から約250年前に初演された「秋葉権現廻船語」は駄右衛門が描かれた代表的な作品の一つで、歌舞伎では長らく上演が途絶えていましたが、この度「駄右衛門花御所異聞」として今の時代に蘇りました。
海老蔵自身も企画段階から携わり並々ならぬ思いで挑む作品です。

海老蔵が演じるのは、悪人の日本駄右衛門、月本家の元家臣で善人の玉島幸兵衛、月本家の守り神である秋葉大権現の3役。長男・堀越勸玄は秋葉大権現の使者である白狐として登場、史上最年少(4歳)での宙乗りにも挑みます。

スペクタクル性に溢れ歌舞伎初心者にもオススメの作品ですが、加えて、作品の随所に「仮名手本忠臣蔵」「義経千本桜」など名作の演出が散りばめられており、歌舞伎通のお客様にもお楽しみ頂ける充実の内容です。

 


(白狐役の堀越勸玄/史上最年少での宙乗りに挑戦)


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▼豆知識▼
 

日本駄右衛門のモデル、濱島庄兵衛は、遠州(今の静岡県西部)を中心に諸国を荒らした盗賊団のリーダーです。
「1両とれば島流し、10両とれば首が飛ぶ」といわれた江戸時代にあって、庄兵衛一味が盗んだのは総額2600両以上。29歳のとき人相書とともに指名手配され、翌年自首して死罪となりました。

この人相書によりますと、庄兵衛は『色白面長、切れ長の目に鼻筋が通り、身長は175cmくらい』となかなかのイケメン。服装は、黒い兜頭巾に金や黒の豪華な着物、刀の鞘はシルバー製で、手には六尺余り(約180cm)の棒を持つ、とどう考えても人目を忍ぶ泥棒の姿ではありません。

庄兵衛はこの姿で強盗に入り、自分は椅子に腰かけ手下に指図するだけだったそうですが、手下の人数は200人を超えていたとか。庄兵衛は相当なリーダーシップとカリスマ性のある人だったのでしょう。

しかし、天下泰平な江戸時代は一発逆転のない時代。下級武士の家に生まれた庄兵衛は、その才能を悪い方で発揮するほかありませんでした。もし戦国時代に生まれていたら、信長や秀吉のようにひとかどの地位を築いていたかもしれません。それだけ器の大きい人だからこそ、日本駄右衛門としてお芝居の中で語り継がれているのでしょう。

『駄右衛門花御所異聞』でも、駄右衛門は大変スケールの大きな悪人として描かれています。また、駄右衛門に対する善人、海老蔵が演じる玉島幸兵衛が、この濱島庄兵衛を意識した名前になっているのも面白いところです。