THUNDER LESSON !

【延年之舞】平成29年9月 野外公演(安比高原・観自在王院跡・金峯山寺)

素踊り
延年之舞〔えんねんのまい〕
− 歌舞伎十八番の内『勧進帳』より −

 


延年とは

延年とは、ひとことで言えば、寺院において大きな行事の後に催されていた芸能大会のこと。歌や舞などその時代に流行している様々な芸能や、神仏の功徳を称える特別な芸能を、僧侶や稚児〔ちご〕*1たちが披露するものでした。延年に専門的にたずさわる僧侶もいて、彼らは「遊僧〔ゆそう〕」と呼ばれました。
延年という名称は、その字の通り延命長寿に由来するものです。古くから「芸能は心の癒しになるので、長生きや社会の繁栄につながる」という考え方があります。延年もまた長寿や平和を祈る芸能なのです。



勧進帳  − もとより弁慶は 三塔の遊僧 −

勧進帳は、成田屋の家の芸「歌舞伎十八番」の一つ。主人公は武蔵坊弁慶〔むさしぼうべんけい〕です。
源義経が兄から命を狙われ逃避行に出たとき、お供した家来の一人が弁慶です。勧進帳では、義経一行は旅の僧になりすまして逃げ、安宅の関〔あたかのせき〕*2に差し掛かります。


(弁慶含む家来達は旅の僧に、義経は荷物持ちになりすまします)


関所の役人のミッションは、義経を捕えること。役人は義経がいることに気付きますが、主人(義経)を守ろうとする弁慶の姿に心を打たれ、一行が関所を通ることを黙認します。弁慶は「分かったうえで見逃してくれた」と察し、お礼に舞を披露するのです。


勧進帳のこの部分には「もとより弁慶は 三塔〔さんとう〕の遊僧 舞延年の時の若」という歌詞がついています。これは「もともと弁慶は、三塔=比叡山延暦寺〔ひえいざんえんりゃくじ〕の遊僧。延年の舞を舞う稚児だった」という意味。役人の温情に感謝した弁慶は、かつて得意とした「延年之舞」を見せたのですね。


今回は、勧進帳からこの「延年之舞」の部分を海老蔵の素踊りでご覧頂きます。通常、勧進帳の中では、上の写真のように弁慶の衣装や化粧で舞うのに対し、素踊りでは紋付袴姿。ごまかしが効かない役者の腕の見せどころです。化粧も施しませんので、ファンの皆様からは「凛々しい素顔が観られて嬉しい!」との声も。安比高原(岩手県八幡平市)観自在王院跡(岩手県平泉町)金峯山寺(奈良県吉野)、それぞれ屋外に設けられた特別な空間での、縁起の良い舞をお楽しみください。


*1  少年の修行僧のこと
*2  義経を捕えるために、安宅(石川県小松市)に設けられた関所


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▼豆知識▼

毛越寺〔もうつうじ〕・延年の舞

延年は、平安~室町時代には盛んに行われましたが次第に衰退し、現在では数ヶ所の寺院に伝わるのみです。中でも、毛越寺*3の延年は大変古い形式を残した貴重なもので、国の重要無形民俗文化財に指定されています。今回の平泉歌舞伎の舞台、観自在王院跡はこの毛越寺に隣接しています。

*3  岩手県平泉町にある、平安時代に創建された天台宗の寺院
   毛越寺:http://www.motsuji.or.jp/


(毛越寺の延年之舞)

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