THUNDER LESSON !

【身替座禅】平成29年10月・11月 全国巡業公演「古典への誘(いざな)い」


新古演劇十種の内
身替座禅(みがわりざぜん)

 

松羽目物とは

近頃はアニメや漫画がよく映画に実写化されますが、昔は、文楽(人形芝居)や小説、落語など様々な作品が歌舞伎化されました。能と狂言から歌舞伎化されたものも多く、それらは「松羽目物(まつばめもの)」というジャンルに分類されています。「松羽目」とは歌舞伎の大道具の名前。能舞台のように正面に老松(おいまつ)が描かれたパネルのことです。

身替座禅は松羽目物の代表的な作品で、「花子(はなご)」という狂言を歌舞伎の舞踊劇にしたものです。舞踊の音楽は常盤津節と長唄囃子連中、両者が掛け合いで演奏します。これらの音楽については公演パンフレットに詳しくご紹介していますので、是非併せてお楽しみください。

 

 

山蔭右京(市川海老蔵)

京都に住む大名。「悪い夢ばかりみるので、持仏堂(じぶつどう)*1にこもって座禅する」と奥さんに嘘をつき、遊女の花子に会いに行きます。松羽目物では背景は松羽目だけなので、どんな場面なのかは皆様のご想像にお任せですが、舞台は持仏堂まである豪邸。立派な大名がどうにか遊女に会いに行こうと懸命なのが面白いところです。
見どころは、右京が花子との一夜を踊りとともに語り聞かせる場面。「綾の錦の下紐は 解けて中々 よしもなや」という長唄で、右京が朝帰りします。
下紐は袴の紐のことですから、色っぽい歌詞ですね。「二人が寄り添い愛し合ったことは自然なこと。理由なんてない。」といった意味です。

*1 持仏堂:仏像を祀るお堂。自宅にあるお寺のようなもの。


(寝乱れてほつれた髪。花子の着物を着て朝帰りです。)

 

 

玉の井(片岡市蔵)

右京の奥さん。通常、立役(男役)の役者が演じるので見た目はなかなかインパクトがあります。やきもち焼きで束縛がすごいのですが、それは愛情の裏返し。心は可愛い女性です。後ろに垂らした髪は喝食(かっしき)という鬘(かつら)で、身分の高い女性によく用います。

 

 

太郎冠者(市川九團次)

冠者(かじゃ)とは家来のこと。太郎は1番目という意味なので、筆頭の家来です。太郎さんという名前の家来ではありません!狂言には主(あるじ)と太郎冠者が面白いやり取りをする話が沢山あり、松羽目物にもよく太郎冠者が活躍します。ひょうきんな人、健気な人、ぼんやりした人など、性格は作品により様々ですが、愛されキャラとして登場する場合がほとんどです。

 

---------------------------


▼豆知識▼

山の神

右京は玉の井を「山の神」と呼びます。山は農作物を産みだす母なる存在なので、山の神様は女性なのだそうです。一方で山は自然災害をもたらす恐ろしいもの。よって、怖い奥さんが山の神と呼ばれるようになりました。
男性が「うちのカミさんが・・・」というのは、山の神が語源となったとも言われています(諸説あり)。

 

 

※掲載画像の無断複製や二次使用を固く禁じます

 

▼THUNDER LESSON! 記事一覧▼
https://thunderparty.jp/contents/thunder_lesson


▼THUNDER PARTY!トップページ▼
https://thunderparty.jp/