THUNDER LESSON !

【蛇柳】平成30年9月・11月 全国巡業公演「古典への誘(いざな)い」


歌舞伎十八番の内
蛇柳(じゃやなぎ)


蛇柳とは、高野山金剛峰寺にあったと伝わる柳の木のこと。「弘法大師 ※1 が、悪さをする大蛇を、祈りの力で柳に変えた」とも伝わります。
現在、高野山にはこの柳はありませんが、蛇柳供養塔が建てられています。

※1 真言宗の開祖。高野山金剛峰寺(和歌山県)を建立した。

 


紀伊国名所図会より。川沿いにある柳が「蛇柳」。


『蛇柳』が初演されたのは今から250年ほど前のこと。もとは「百千鳥大磯廓通(ももちどりおおいそがよい)」という長いお芝居の一部(舞踊部分)で、主人公の丹羽の助太郎を演じたのは四世團十郎でした。
のちに、七世團十郎がその舞踊部分だけを『蛇柳』として独立させ、歌舞伎十八番の1つに選びましたが、初演以来上演が途絶えていたため、その時点で既に詳しい内容が分からなくなっていました。七世團十郎は『蛇柳』の復活を試みたとも伝わりますが、上演は叶いませんでした。

この度の『蛇柳』は、平成25年に新たな命を吹き込まれ、復活上演された作品で、物語の舞台は高野山。蛇柳のもとに丹波の助太郎という男がやってきますが、その正体は蛇柳の精魂。かつて弘法大師によって柳に変えられた大蛇が、恨みを晴らすために現れたのです。そこに登場するのが金剛丸照忠という勇者。「押戻(おしもどし)」という演出で、荒れ狂う蛇柳の精魂を鎮めます。

 

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▼豆知識▼

◇ 押戻

歌舞伎十八番の一つにも含まれる「押戻」。これは作品の名前ではなく、「力自慢のヒーローが登場して、怨霊や妖怪の行く手を阻む」という演出のことです。
作品の最後に登場して、怨霊などを花道から本舞台に戻すので、「押戻」。お芝居の中の怨霊などがパワーアップしないよう、舞台に封じ込めるという、一種の儀式的、呪術的なものとお考え下さい。


金剛丸照忠。海老蔵は、丹波の助太郎のちに蛇柳の精魂と、この金剛丸照忠を演じます。


菱皮の鬘(ひしかわのかつら)、顔には筋隅(すじぐま)、鋲(びょう)が打たれた赤い胴着、紫のどてらには力強い綱の柄、刀は三本太刀(さんぼんだち)。歌舞伎の荒ぶる演技=荒事の典型的な姿。抱えているのは青竹。竹は丈夫で生命力が強いことから、魔除け・破邪(はじゃ)※2の意味があります。怨霊を「押戻」すのには、うってつけのアイテムです!

※2 邪気を払うこと

 

◇ 古典作品の復活

歌舞伎十八番には、『勧進帳(かんじんちょう)』や『暫(しばらく)』などの名作が含まれる一方、何らかの事情で上演されなくなった作品や、台本が残っていない作品なども存在します。海老蔵はそれらの作品の復活に積極的に取り組んできました。
https://ameblo.jp/ebizo-ichikawa/entry-12106917023.html

古典作品の復活は、古い錦絵や芝居番付(パンフレット)などをもとに、専門家たちの力を得て進められる大変な作業。『蛇柳』も、わずかな資料を手掛かりに、新たな構想で台本が作成され、第1回「ABKAI」にて復活上演に至った作品です。

 

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