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【六本木歌舞伎 羅生門】平成31年2〜3月公演

六本木歌舞伎「羅生門」は、現代語で進む新作歌舞伎ですが、古典の知識や歌舞伎の約束事などがふんだんに取り込まれています。今回は、ここが分かればさらに楽しく観劇できる!というポイントをご紹介しておきましょう。


◆ 芥川龍之介の「羅生門」とは・・・?
ある下人が仕事を失い、「生きるためには盗賊になるほかない」と考えながらも、“勇気”が出ぬまま羅生門の楼上に登る。するとそこで、女の死体から髪を抜く老婆に出会う。
老婆は「抜いた髪は、鬘(かつら)にして売る。生きるためにする悪だから仕方がない。自分が髪を抜いたこの女も、蛇を魚だと偽って売っていた。髪を抜かれてもこの女は許すだろう」と言う。
これを聞いた下人の心に“勇気”が生まれ、下人は「自分もそうしなければ、餓死をする体だ」と言うと、老婆の衣をはぎ取り、立ち去る・・・。


これが、芥川の「羅生門」のあらすじです。六本木歌舞伎「羅生門」は、このお話に、日本に古くから伝わる「羅生門で片腕を斬られた鬼=茨木童子(いばらきどうじ)」の逸話が交差して展開してゆきます。


 

◆ 歌舞伎ならではの約束事・演出

・定式幕(じょうしきまく)
劇場に入ると目に飛び込んでくるのが黒、柿、萌葱(もえぎ)の三色の幕。「いつも使うお定まりの幕」という意味で「定式幕」と呼びます。

 

・附け(つけ)
舞台右手の床で木を板に打ち付けているのは「附け」といって、俳優の演技を強調する効果音です。附けを打つのは「附け打ち」という専門職。俳優の動きとの一体化が求められる大変高度な職人技です。


手に持つツケ木は「樫」、舞台に置くツケ板は「欅」。硬い木材で作られています。
 

・見得(みえ)
重要な場面や登場人物の気持ちが高ぶったとき、お客さまの注目を集めるために、静止してポーズを決める演技のことです。テレビや映画で被写体を大きく写す「クローズアップ」の手法と似ていますね。


勧進帳「弁慶」石投げの見得

 

・三升屋兵庫之助三久(みますや ひょうごのすけ みつひさ)
「羅生門」には、海老蔵が、写真のようなインパクトのある姿で登場する場面があります。突然の登場に「この人は誰?」「何が起こったの?」と不思議に思われるかもしれませんが、これは、成田屋に代々伝わる「荒ぶる演技=荒事(あらごと)」特有の、鬼や怨霊を退散する儀式的・呪術的なもの。歌舞伎十八番の「押戻(おしもどし)」「暫(しばらく)」などと似た演出です。深く考えずに、独特の化粧や衣裳、力強い動きから、荒事のパワーを感じ取ってください!



■ 力紙(ちからがみ):頭につけた白い紙。力強さを表す。
■ 筋隈(すじぐま):正義のヒーローを表す赤い隈取。血管や筋肉を強調。
■ 仁王襷(におうだすき):背中の太い綱のようなもの。力強さを表す。
■ 素襖の袴(すおうのはかま):市川一門のシンボルカラー、柿色。白で染め抜かれた三つの升形は「三升紋(みますもん)」といって、成田屋の紋。役名の「三升屋兵庫之助三久」もこの紋にちなんだもの。
■ 腰帯(こしおび):腰に結んだ白い布。装飾性の高い帯で、ここにも三升紋。

 

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▼豆知識

・かまわぬ

「構わぬ」を『鎌(かま)』、『輪(わ)』、『ぬ』の絵と文字で洒落た柄のことで、もとは江戸時代の町奴(まちやっこ)が衣服に用いていました。町奴の中には火消しを担う者も多く、彼らの「たとえ火の中、水の中に入るのも構わない」という心意気を表すものでした。後に、七世市川團十郎が舞台衣裳に使ったことで江戸のトレンドになり、現在では成田屋ゆかりのものとして知られています。
 


海老蔵がデザインした「かまわぬ」をあしらった扇子

 

・古典歌舞伎の引用

新作歌舞伎では、セリフや大道具・衣裳などの演出を、古典歌舞伎の作品から借りることがよくあります。「これはあの作品のあの部分だな」と分かるように作られており、歌舞伎通にも好まれる場面です。
「羅生門」のうち、「祇園屋」の場面は「仮名手本忠臣蔵・七段目」がモチーフになっています。
「七段目」のあらすじはこちら

 

いがかでしたか?
「古典や歴史は苦手で・・・」という方も、六本木歌舞伎「羅生門」なら大丈夫。歌舞伎を身近に感じて頂けること間違いなしです!  

 

 

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