THUNDER LESSON !

【神明恵和合取組】令和2年1月 新橋演舞場(夜の部)

神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)
め組の喧嘩

江戸時代に起きた「町火消」と「力士」の喧嘩をベースにした物語。
海老蔵が演じるのは、町火消の辰五郎です。
町火消とは、現在でいう地域の消防団のようなもの。火事が起きたら消火に駆けつけますが、普段は鳶として生計を立てていました。そんな鳶たちの粋でイナセなカッコよさが、この作品の大きなみどころです!

 


出版年:明治26[1893]年(豊原国周 加5968[100] 都立中央図書館特別文庫室所蔵)
 

火事が多かった江戸時代、火消には「大名火消」(幕府が大名に課した仕事)、「定火消」(幕府の消防組織)、「町火消」(地域の消防団)など、様々な組織がありました。このうち、町火消は「い組」「ろ組」「は組」・・・と「いろは48組」に分かれて担当エリアが決まっていました。「め組」は芝から浜松町(東京都港区)を受け持つ町火消。当時「め組」の鳶たちと、力士たちの間に起きた乱闘事件は「め組の喧嘩」と呼ばれて広く知られ、歌舞伎や落語などの題材にもなりました。


上演:明治23[1890]年 新富座(歌川国貞[三代] 港区立郷土歴史館所蔵)


この作品では、「め組」の鳶と力士の間に起きたイザコザを、「め組」の親分=辰五郎がとりなしますが、「力士と鳶では身分が違う」と言われて恥をかかされてしまいます。
辰五郎は、命を捨てる覚悟で、屈強な力士たちへの仕返しを決意。愛する妻と息子に別れを告げて家を出ると、堀越勸玄演じる息子の又八が後を追い、父にすがる場面は涙を誘います。
辰五郎は、又八を抱きしめると、力士たちのもとへ駆け出して行きます!

 

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▼豆知識

・力士と鳶の身分差
辰五郎が力士との喧嘩を決めたのは、力士に味方する侍から「力士と鳶では身分が違う」と言われたから。江戸時代、大名は、自分の力をアピールするために、強い力士を抱えることがよくありました。 大名のお抱えとなった力士には、武士の身分が与えられたため「鳶は町人なので力士より身分が低い」と見下されたというわけです。江戸っ子の鳶にとっては、面子と意地がすべて。大勢の前で恥をかかされたことが許せなかったのですね。

 

・芝大神宮
実際に「め組の喧嘩」が起きた芝大神宮(東京都港区)の狛犬。台座には「め組」の文字。
力士との乱闘のとき、め組が乱打したという半鐘(はんしょう)は、年に一度、9月のお祭りの期間のみ一般公開されます。

 

《東京都港区HP》
https://www.lib.city.minato.tokyo.jp/yukari/j/ukiyoe-detail.cgi?id=24

 

 

・江戸の火消をリアルに表現
この作品には、江戸時代の町火消(鳶)の暮らしや振舞いが「め組」の関係者に詳しく取材され、忠実に描かれています。
舞台で使う衣裳や小道具も「め組」が実際に使っていたものを真似たものです。


2018年10月 大阪松竹座「十月大歌舞伎」(写真提供 松竹株式会社)

刺子織(さしこおり)の半纏(はんてん)。刺子織は、動きやすく丈夫で、水を含むので火事の現場でも火が燃え移りづらい生地。 半纏の模様も「め組」特有のもの。手には「鳶口(とびぐち)」。火事の延焼を防ぐため、家屋を取り壊す時に用いました。

 

・焚出しの喜三郎
辰五郎が兄と慕う「焚出しの喜三郎」。工事現場などに人員を派遣する仕事で、その現場に弁当も納入するので「焚出し」です。屈強な日雇い労働者を取りまとめる親分ですから、腕っぷしが強く、肝が据わり、人望がないと務まらない商売。
町火消と力士の大乱闘に仲裁に入るのがこの喜三郎。町奉行(町火消を管理)と寺社奉行(力士を管理)の両方の羽織を持って登場します。あちこちに顔の利く、その地のボスということですね。

 

◇ 昼の部『御存鈴ヶ森』のレッスンを読む

 

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